3月になりコロナの状況はどんどん悪化していった。日々変わっていく状況に、果たして隣を借りるべきかそれとも移転するべきかもっと他にいい方法は無いのか、一度は拡張と決断したにも関わらず考えても答えの出ないというか出せないことでずっと悩んでた。中旬頃に不動産屋から図面や契約内容なんかの連絡が有った。BOUNTYは17年、うちは又貸しとはいえ10年も同じ場所で運営していたので、契約も引き継ぐというかスライドというか補償金なんかに対して多少の温情が有るかと思ったんだけど、不動産屋が提示してきた条件はBOUNTYから聞いてた現状の家賃より高く、補償金も新規の契約と同じでとのことだった。不動産屋も商売だからより良い条件で早く契約したいのは理解できたけど、オリンピックが延期か中止になるかもって時期だったし、家賃も上がるってことだったんで今すぐ判断することは無理ですと伝え3月末まで返事を待ってもらうことにした。ただこの時に不動産屋が言った「この条件(家賃値上げした状態)でもいくらでも借り手はいるんで」という言葉は忘れないよ。

結果、オリンピックは延期になり、東京やその他の都市部で感染数がどんどん増え、3月末での判断は無理だと伝えた。その頃になると不動産屋もBOUNTYも大家さんも深刻な状況だってわかってきたみたいで4月末まで返事を伸ばすってことで落ち着いた。この段階でやっと不動産屋が、家賃は現状通り+補償金も1ヶ月分減額という条件を出してきた。それでも返事が出来ないくらいコロナの猛威が日本中を襲い始めてた。

4月になり、とうとう主要都府県に緊急事態宣言が出されるとの情報が飛び交った。店舗に対しては休業要請が出るかもとも。とりあえず営業時間短縮で対応した。そしてとうとう4/7、主要都府県に緊急事態宣言が出された。この時愛知県は緊急事態宣言が出なかったんで様子見してた。しかしお客さんの数はどんどん減っていった。ちょっと遅れて愛知県独自の緊急事態宣言が出た。タイミング良いのか悪いのか愛車のダッジも故障して動かなくなったと連絡があった。。。
1週間ほどして休業要請が県から出た。うちのようなアーティストの作品や雑貨やアパレルなんかを扱う店舗が休業要請の対象になっているのかわからなかったけど、とりあえずお客さんや洋三の感染リスクを減らすために店舗は閉めた。


全てが終わったと思った。


しばらく店舗の売り上げが無くなってしまうなんて想像すらしてなかった。それもいつまで休業要請が続くのかもわからない状況だったし。4月は毎年進学やら転勤やらで新規のお客さんが来てくれたりゴールデンウィーク需要なんてのもあって本来ならまぁまぁ売上はあるはずなんだけどそれが全て奪われることに戦慄を覚えた。マスクは2枚もらえるらしいけど、持続化給付金ももらえるのかわからなかったし休業補償ももらえるかわからずの状態で。


もうどうすれば良いのか完全にわからなくなってた。


僕らが考えていた新しいビジネスってのはギャラリー的なユーティリティースペース。なんで人が集まらないことには成り立たない。でも果たして9月から隣を借りて新しいビジネスを始めたとしてその頃にコロナは収まっているのだろうか?効果的な治療法はできているのだろうか?収まっていたとしても以前のようにお客さんは来店してくれるのだろうか?。もし収まっていなかったらただ家賃が倍になり保証金やら内装やらにお金がかかるだけでメリットゼロというかマイナスが増えるだけじゃ無いかと思ってきた。ちょっと前まで店舗を閉めるってことは考えてなかったんだけどそれすら怪しくなってきた。例えばこれが1年も続いたらもちろん持たない。1年と言わず半年でも無理。頑張って3ヶ月が良いところ。通販だけでやるならそもそも店舗なんかいらない。もういっそ安い店舗営業も可能なマンションとか倉庫とか借りて落ち着くまで内装とかもやらず仮営業と通販主体にした方が良いんじゃやないかという考えも出てきた。

誰が悪いわけでも無く誰に聞いてもいくら考えても答えが出ないことで悩む日々がずっと続いた。


そんな頃に藤村さんが赤平に籠り出した。自分は2ヶ月ほど家に篭っててほとんど人に会ってなかったので赤平に行っていいですか?と連絡してみた。

泊まれないけど来ても良いよと返事が来たので行くことにした。



…つづく…